2018年7月7日土曜日

SPARKで部屋から外へ移動するシーンを撮影

僕の本業はグラフィックアーティストのコーディネートエージェンシーであるBUILDINGの経営なんですが、そこに所属するアーティスト達のPRの一環として『ポートレートムービー』を制作しています。
ポートレートムービーは6年前からつくっていたんですが、今年から企画・撮影・編集まで自分一人でやるようにしました。そうすれば思うような映像を、コストを掛けずに創れますからね。そもそもドローンを始めたのも映像を一人でつくるためのピースの一つでしたから、カメラの勉強をやり直すことからはじめて6年ぐらい掛けて、やっと目的が一つ叶ったことになります。
そして今春から、それを自社に所属していないアーティストに向けた事業として(そろりと)立ち上げました。
https://portrait-movie.com/



宣伝はさておき(!)、自分ひとりでポートレートムービーを創りはじめて6作目が、伊東市在住の三枝文子(あやこ)さんのムービーでした。


このムービーの冒頭、00:07から00:25までのシーンをDJIのSPARKで撮影しました。
民家の室内からフライトを開始し、1mに満たない幅の窓枠の間を通り抜ける必要があったので、ドローンの選択は必然的にSPARKとなりました。
映像をご覧いただけるとわかるように、切り絵を制作しているシーンなので、Mavicだとプロペラの風で紙が吹き飛ばされてしまいます。それに障害物センサーもOFFにして、被写体まで50cm以上近づいているので安全性も考慮して。

SPARKでの撮影アレコレ


映像的にはレンズの焦点距離も画質もMavicの方が良かったんですが、上記の理由でSPARKにしました。

で、問題になるが(やはり)SPARKの画質です。

SPARK以外のシーンは、ドローンはPhantom4 Proで地上のカメラがα7Sii。どちらも4Kで撮影しているので、FHDしかないSPARKの解像度はそんなもんだと諦めます。

解像度以外で問題になるのはカラーとシャッタースピードですね。

○カラー


カラープロファイルはP4PではD-Cinelike、α7SiiではCine4の各パラメータを自分好みに変更している設定で撮影しています。階調を失いたくないので、僕はlogは使いません。
でもSPARKはカラープロファイルを選べないんですよね。上記の2つと比べると、吐き出される映像の色がとにかく濃い。コントラストが強くて暗部はツブれ、ハイライトは飛んでいたりします。

しかも一連のシークエンスでは、α7Siiでも異なるレンズを使用したので、元のデータはすべて色が異なっていました。
そんなバラバラのシーンの色味を調整するのはとても大変なんですが、最新のPremiere Pro CCで実装されたカラーマッチ機能が、クリック一発で合わせてくれました。
カラーマッチ機能はほぼ同じ画角で撮った動画でないと、「どこがやねん」的に全然合ってない色味を出すことが多いんですが、今回はうまく調整してくれましたね。

以下の画像は全てカラーマッチ機能の補正後です。


↑このシーンはα7Sii+FE 24-70mm F2.8 GM+Kenkoの可変NDフィルター(バリアブルNDX)で撮影。今回のムービーではほとんどのシーンをこの組み合わせで撮っています。
バリアブルNDXはめちゃくちゃ高いけど、色の変化や減光が自然なのがとても良い。
ちなみにα7Siiで撮影するときは、基本的にフォーカスも露出もマニュアルです。


↑このシーンはα7Sii+Leica Summicron 35mm f2 ASPH.+安物の可変NDフィルター
やっぱ単焦点は良いな〜と映像を撮影しても感じます。
本当はKenkoのフィルターを使いたかったんですが、ライカのレンズ径に合うステップダウンリングが見つけられなかったので仕方なく。
で、このフィルターを使うと色味が少し緑っぽくなってしまうんです。


最後がSPARK。こうして並べてみると「テーブルの天板や服の色味が違うぞ」って感じですが、元のデータを見比べた後なら「よくここまで合わせたな」とAdobe Senseiを褒めたくなるというものです。

ライカのシーンは絞り開放で撮影したので周辺減光が目立ちますが、Premiereのビネットで他のシーンをライカのシーンに合わせました。


○シャッタースピード


室内から窓枠を抜けてからしばらくは右から左に樹々が流れるシーンが続きます。
こうした明暗差の激しいシーンではNDフィルターをどう使うかが悩ましいんですが、明るいシーンに合わせたNDフィルターを使うと室内ではISOが上がってノイズが目立つのが嫌なので、今回はフィルターを使わずにAUTOで撮影しました。

明るい部分ではシャッタースピードが1/2000ぐらいになっていたと思いますが、そうなるとこのシーンのように画面全体が勢いよく動くと、チラツキが激しくなって観ていられません。
それを少しでも誤魔化すために、PremiereProのブラーエフェクトを使用。このシーンは右から左に被写体が移動しているので、270度の方向にブラーを掛けました。移動速度に合わせてブラーの掛かり具合をキーフレームで調整しています。

元データがこちら。

こちらがブラーとカラコレの補正後。
ブレてますね〜。これで動画としては見やすくなりました。

ということで今回はSPARKでの撮影の裏話でした。
マイクロドローンによる撮影も流行っているようなので、ハードの性能不足をソフトの性能で補うスキルも大事になるかもしれませんね。
僕はまだまだ修行中なので、これからも色々と試してみたいと思います。


ところで「性能不足」という観点では、すっかり練習を怠っている僕のフライトスキルの「性能不足」も感じてしまいました。。
被写体までギリギリに近寄りつつカメラを顔までチルト(上げ)し、横移動しながら狭い窓の隙間をくぐり抜けて速度と高度を上げながらカメラを一番上までチルトさせ、ドローンの進行方向に機体(カメラ)の向きを滑らかに変えつつ、障害物センサーを切っているので樹に当たらないように・・・という一連の流れを、納得ができるシーンが撮れるまでに要したのは55テイク・・・!!

その間もずっと我慢強く切り絵の制作を続けてくれた三枝さんに感謝です!m(_ _)m



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